退職金の税金の計算(所得税・住民税と手取り)
更新日 2026-10-22
退職金から差し引く所得税・復興特別所得税と住民税は、勤続年数に応じた「退職所得控除」を引いてから計算します。退職金の額と勤続年数を入れると、税金と手取りの目安をその場で計算できます。
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計算式
退職金の税金は、給与とは別に、次の順番で計算します。退職する人から「退職所得の受給に関する申告書」を受け取っている場合の計算です。
1. 退職所得控除額を出す
勤続年数は、1年に満たない端数を1年に切り上げます(例: 10年2か月 → 11年)。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(80万円に満たないときは80万円) |
| 20年を超える | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年) |
障害者になったことが直接の原因で退職する場合は、上の額に100万円を足します。
2. 退職所得の金額を出す
| 退職する人 | 退職所得の金額 |
|---|---|
| ふつうの場合 | (退職金 − 退職所得控除額)× 1/2 |
| 役員として勤めた年数が5年以下の役員など | 退職金 − 退職所得控除額(2分の1にしない) |
| 勤続年数が5年以下の従業員で、退職金 − 退職所得控除額 が300万円を超える | 150万円 +{退職金 −(300万円 + 退職所得控除額)} |
勤続年数が5年以下の従業員でも、退職金 − 退職所得控除額 が300万円以下なら、ふつうの場合と同じく2分の1にします。ここでいう「役員など」は、会社の取締役・監査役などのほか、国会議員・地方議会の議員、国家公務員・地方公務員です。求めた金額の1,000円未満は切り捨てます。
3. 所得税・復興特別所得税(源泉徴収税額)を出す
退職所得の金額(A)を、次の速算表にあてはめます。1円未満は切り捨てます。
| 退職所得の金額(A) | 税額 |
|---|---|
| 195万円以下 | A × 5% × 102.1% |
| 195万円を超え 330万円以下 | (A × 10% − 97,500円)× 102.1% |
| 330万円を超え 695万円以下 | (A × 20% − 427,500円)× 102.1% |
| 695万円を超え 900万円以下 | (A × 23% − 636,000円)× 102.1% |
| 900万円を超え 1,800万円以下 | (A × 33% − 1,536,000円)× 102.1% |
| 1,800万円を超え 4,000万円以下 | (A × 40% − 2,796,000円)× 102.1% |
| 4,000万円を超える | (A × 45% − 4,796,000円)× 102.1% |
令和9年分からは、所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税の3つになりますが、合計の税率は変わらないため、この計算方法はそのまま使えます。
4. 住民税を出す
住民税も、退職金を払うときに差し引きます(特別徴収)。2の退職所得の金額に、市区町村民税は6%、道府県民税(東京都は都民税)は4%をかけ、それぞれ100円未満を切り捨てます。合計は10%です。政令指定都市でも、退職金にかかる住民税はこの税率です。
計算例
退職金800万円・勤続10年2か月の従業員の場合です(所得税は国税庁の計算例)。
- 勤続年数: 10年2か月 → 11年
- 退職所得控除額: 40万円 × 11年 = 440万円
- 退職所得の金額: (800万円 − 440万円)× 1/2 = 180万円
- 所得税・復興特別所得税: 180万円 × 5% × 102.1% = 91,890円
- 住民税: 180万円 × 6% = 108,000円、180万円 × 4% = 72,000円、合計 180,000円
- 手取り: 800万円 − 91,890円 − 180,000円 = 7,728,110円
注意
- 「退職所得の受給に関する申告書」を受け取っていない場合は、退職所得控除を引かずに、退職金の額 × 20.42% の所得税・復興特別所得税を差し引きます(1円未満切り捨て)。800万円なら1,633,600円です。この場合は、退職した本人が確定申告をして精算します。申告書は、退職する人が書いて、退職金を払う会社に出すものです。
- 差し引いた所得税は、原則として退職金を払った月の翌月10日までに納めます。住民税は、退職した年の1月1日に住んでいた市区町村に、払った月の翌月10日までに納めます。
- 退職金には、退職を理由に払う功労金なども含めます。分けて払う場合も、払う予定の総額で計算します。
- 申告書を出して正しく源泉徴収されていれば、退職金について本人が確定申告をする必要は、原則としてありません。
このかんたん計算で扱っていないもの
- 前年以前に受け取った退職金や、確定拠出年金(企業型・iDeCo)の一時金と勤続期間が重なる場合の、退職所得控除額の調整
- 同じ年に2か所以上から退職金を受け取る場合
- 従業員から役員になった人で、役員の期間が5年以下の場合(退職金を役員の分と従業員の分に分けて計算します)
- 亡くなった人の退職金で、相続税の対象になるもの(所得税は源泉徴収しません)
- 確定給付企業年金の一時金などで、本人が掛金を負担していた場合
迷うときは、国税庁のタックスアンサーで確認するか、税務署・市区町村にお問い合わせください。
出典
確認日 2026-10-22